どうもお久しぶりです。kamikamiです。
まずは長らく更新が滞ってしまいすみませんでした。深くおわび申し上げます。
更新は滞っていましたが、「iCity Project」自体は進行していました。その大きな節目として、明日、第1回のプレゼンテーションが行われます。
今回は、更新が滞っていた間の議論の流れ等も含め、iCityの最新情報をリポートします。
最新情報
まずはプロジェクトにおける最新の確定情報から。
プロジェクト初の公式アウトプット「iCity presentation vol.1」
当初から、6月中にApple Japan、そして10月中にApple本社でのプレゼンテーションを目標として立ち上がったこのプロジェクトですが、なんと本当にAppleでのプレゼンテーションが決定してしまいました!
「50年後の未来にAppleが都市をプロデュースしたら?」という命題の元に集まった研究プロジェクト、その4ヶ月の成果が遂に明かされることとなります。
iCity presentation vol.1
日時:2010年6月19日(土) 13:00〜15:00
場所:Apple Store Ginza
入場料:無料
……しかし、ここで残念なお知らせが1つ。
いつも私たちが行っているUSTREAM中継については、Apple社広報より拒否されてしまいました。楽しみにしていた方には申し訳ありません。
ただ、Twitterでのテキスト中継や、テキスト公開を前提とした取材活動は特に問題がないようなので、ガッツリ取材とテキスト中継を行い、後日リポートとしてお伝えする所存です。お楽しみに。
また、プレゼンに関しても、後日改めて中継できないか、現在プロジェクトのマネジメント・チームと交渉中です。実現しましたら、こちらも告知したいと思います。
公式ウェブサイト・Twitter公式ハッシュタグ始動
むしろ今までなかったことの方が驚きですが、iCity Project 公式ウェブサイトが公開されました。未だ整備中の部分もありますが、少しずつ情報が更新されているもようです。
今まで「iCityとはなんなのか?」ということを対外に発信してきた媒体は、実質この密着企画くらいでしたから、これは歓迎すべきことだと思います。
……まぁ、リッチな表現をするために、あえてFlashサイトとして構築しているのは、ご愛嬌といったところでしょうかw
また、Twitter上での公式ハッシュタグが確定しました。
今まで、UST中継やTwitterでのテキスト中継の際、便宜的に #iCity や #iCityJP を使ってきましたが、海外ユーザーとの混線の問題などがあったため、プロジェクトと合議の結果、正式に #iCity10 を利用することとなりました。
今後、「iCity Project」の最新情報や「iCity」関連情報は #iCity10 を中心に流れていくこととなります。Twitterをご利用の方はぜひご注目ください。
もちろん、このカオクリでも継続して「iCity」を追っていきます。
今後は前回の発起人・近藤哲朗さんへのインタビューのような独自の取材がメインになるかもしれませんが、公式のアウトプットと合わせ、こちらもよろしくお願いします。
iCityとは何か? 2060年への未来予測
さて、では私たちがリポートできていなかった間に、「iCity Project」ではいったいどんな議論がなされていたのでしょうか?議論の主軸は、2つの未来予測にあったといえます。
iCityに至る50年間の予測
Appleによる50年後の都市を想定する上で、そこに至る過程を想定することは避けて通れません。
すなわち、
- 50年後に向けて情報技術がどのように移り変わっていくか?
- それに合わせ、Appleはどのような製品を出していくのか?
という「iCity」の前提についての想定です。
プロジェクトではメンバーをいくつかの班に分け、調査を進めていましたが、主に情報技術班と企業動向班のスタディがこれに当たります(詳しくはミーティングの動画を参照)。
まずは2010年現在のAppleのプロダクトにはどんな特徴があるでしょう?
企業動向班は次のように指摘しました。
- Appleのソフト/サービスはハードに依存しないが、Appleのハードでこそ最高のパフォーマンスが得られる。
ex.) iTunes、QuickTime、Safari、MobileMe - プラットフォーム作りが巧い。 ex.) iPodとiTunes Store
- モバイルデバイスを中心に開発。徐々に軽量化・小型化。
それと同時に、ラップトップでしかできなかったことが、モバイルデバイスで徐々に可能になってきている。
これを踏まえ、50年で情報デバイスが次のように変わるのでは、と想定されました。
- モバイル → ウェアラブル
「持ち歩く」のではなく、「身につけられる」ものへと変化。 cf.) 情報技術班提案の「iContact」 - ウェアラブル → 環境化
デバイスを身につけることで「持つ」という意識が薄まり、徐々に身体から離れて環境化──つまり生活空間そのものが情報デバイスとなるのではないか、という予想。 cf.) iHouse、iStreet - 環境化したデバイスが連動 → 都市全体がデバイス化
すなわちこれが「iCity」なのでは、という予想なのです。
議論の中では、身につけられるようになったデバイスが身体に埋め込まれ、電脳化するのでは……といった説もありましたが、テツさんの「Appleらしくない。ワクワクしない」の一言で見送られる一幕もw
2060年 「iCity」の世界
そして他方では、「iCity」が導入された2060年の都市についても、様々な想定がなされました。
Appleがどんなシステムで都市を構築するのか、そしてそこに住む人々がどんな生活を送っているのか、という議論です。
イメージの参考となったのは、iPhoneユーザーにはおなじみ「App Store」でした。同ストアでは、iPhone上で動作するアプリを個人単位で販売・購入することができます。
この流通プラットフォームを都市の範囲まで拡大し、個人・集団・自治体等の規模に関係なく、アプリを開発・利用していくのではないか、というのです。
ちょっとわかりにくいので、議論の中で実際に提案された「iCity アプリ」をいくつかご紹介します(MTGにて配布された資料より引用)。
Interactive Circle
未来の井戸端会議。その円の中に入ると大容量データも秘密のデータもスムーズに情報交換を行うことができる。その場に限定された情報をその場にいる人だけで共有する。
iClean
全自動の清掃・環境最適化サービス。公共空間だけではなく、API に対応した住居等の清掃、 iFood を含めた全インフラのメンテナンス・環境最適化まで行う。個人の所有物での利用は有料。 API に未対応、またはそれがトラブルを起こしている場合はスタッフが対応する。
Play Comics
ある一定の条件を満たすと、それに応じて漫画にあるような効果音や効果線が空間内にあらわれる。例えば、両手を勢いよく前に突き出すと、「ドンッ」と文字が空間に浮き上がる。友達を驚かす時に有効。
これらはあくまでアイディアレベルでしたが、上述のような「環境化されたデバイス」によって、開発・流通・利用されることを前提に考えられています。
「Play Comics」なんて特に「iCity」っぽいですよね。議論の中で「iCityは都市にかかるレイヤーだ」という話が出てきましたが、まさにその通り。
iTSライクなプラットフォームが都市に溶け込み、そしてアプリが都市を彩る。
それが、「iCity」というわけです。
これらのアイディアがどう昇華され、「iCity」での生活でどのように使われると想定されたのか───それは、ぜひ実際のプレゼンテーションでご確認ください!
カオクリ的 気になる方向性
このプロジェクトは今回のプレゼンテーションで終わるものではありません。
今後も未来都市を構想していく、との話です。
その上で、私たちカオクリ取材陣としては、議論で取り残された1つの観点が気になります。
それは、フィールドワークの必要性です。
元々この提案は、思想・社会問題班から出されたものでした。
ただ、時間的な制約などから、いまのところプロジェクトで実現できてはいません。
未来の都市を想像する「iCity」。
データをもとに未来予測を立てる事ももちろん必要ですが、実際に今起きている社会問題を現場で見る、という行為も必要なように思えます。今ある問題を解決してこそ、未来予測に希望を持てるのですから。
また、iCityが提案する「50年後の都市像」が、今の都市環境と地続きであるとするならば、それを検証しなければなりません。
そのために「今の都市とiCity」について検討必要ながあるのではないだろうか?───というカオクリなりの問いかけです。
ひとまず「iCity」を構築しましょう。
では、「iCity」ができあがった世界では、今の都市問題の何が解決され、新たにどんな問題が起こるのか?
この論点も忘れずに持っておきたいと私たちは思います。
参照
まだ記事に組み込んだことのない中継動画・資料を以下に貼りつけておきます。再生が始まらない時は、リロードボタンを押してください。
また、ログが残っている範囲であれば、Twitterにて「#iCity10」で検索していただければ、メンバーの議論を追うこともできます。
[iCity Project] 2010.04.10 MTG
この時点ではまだ各チーム、各個人が思い思いの「iCity」を想定していました。
[iCity Project] 2010.04.24 MTG
現代の都市の問題やそれに対する取り組みなどから「iCity」という概念が収束され始めます。
[iCity Project] 2010.05.08 MTG
プラットフォームとしての「iCity」。数多く提案されるアプリに注目!
[iCity Project] 2010.05.22. 全体MTG
メンバーのiCityに対する考え方の再確認など、プロジェクト運営に関する議論が中心です。
[iCity Project] 2010.05.29 MTG
マーケティング・チームとプロダクション・チームのミーティングのテキスト中継です。
かなり示唆に富んだ内容が語られてます。
[iCity Project] 2010.06.05 全体MTG
この日、遂にプレゼンのデモが公開されました。
もちろん、本番ではこれよりスゴいものがお目にかかりますよ!